Microsoft Visual C++がいっぱいある理由とは?削除してはいけない本当のワケ

Microsoft Visual C++がいっぱいある理由とは?

パソコンの「アプリと機能」一覧に、ずらりと並ぶ「Microsoft Visual C++ Redistributable」。

「なんでこんなにいっぱいあるの?」「古いのは削除しても大丈夫?」と感じたことはありませんか。

実はこれらは、Windowsを支える重要な“部品セット”であり、アプリやゲームを動かすために欠かせない存在です。

この記事では、Microsoft Visual C++が大量にインストールされている理由から、削除してはいけない根拠、安全な整理方法までをやさしく解説します。

読み終えるころには、「Visual C++がいっぱいあっても心配いらない」と自信を持って言えるようになります。

目次

Microsoft Visual C++が「いっぱいある」のはなぜ?

Windowsの「アプリと機能」画面を開くと、ずらりと並ぶ「Microsoft Visual C++ Redistributable」。

「2005」「2010」「2013」などの年号や、「x86」「x64」といった表記があり、まるで複雑な暗号のようですよね。

しかし実はこれらは、あなたのパソコンを陰で支えている“縁の下の力持ち”です。

ここでは、その正体と「なぜこんなにたくさんあるのか」を、仕組みの面からわかりやすく解説します。

まず「Microsoft Visual C++」とはどんなもの?

Microsoft Visual C++(以下、Visual C++)とは、C++というプログラミング言語でWindows用のアプリを開発するための環境(開発ツール)です。

多くのWindowsアプリ──たとえばAdobe PhotoshopMicrosoft Office、そしてSteamで配信されている多数のゲーム──が、このVisual C++を使って作られています。

開発者は、ゼロからすべてを作るわけではなく、「ライブラリ」と呼ばれる便利な部品を使って開発します。

ライブラリ名 主な役割 説明
CRT (C Runtime) 基本動作 文字列処理・ファイル操作などプログラムの土台
STL データ処理 並び替え・検索などの効率的なアルゴリズム
MFC 画面表示 ウィンドウやボタンなどGUIを構築
ATL アプリ連携 異なるソフト同士を連携させるコンポーネント
OpenMP 高速処理 マルチコアCPUを使って並列処理を行う

これらのライブラリをまとめて、一般ユーザーのPCでも使えるようにしたのが「Microsoft Visual C++ 再頒布可能パッケージ」です。

つまり、これはアプリを“動かすための共通の部品セット”なのです。

「再頒布可能パッケージ」って何のためにあるの?

「Redistributable(再頒布可能)」という言葉は、開発者がその部品をユーザーにも配布してよいという意味です。

Visual C++で作られたソフトは、Microsoftが提供するライブラリに依存しています。

つまり、あなたのパソコンにそのライブラリがなければ、ソフトは起動できません。

リンクの方式 特徴 影響
静的リンク 部品をソフト内部に埋め込む 単体で動くがサイズが大きくなる
動的リンク 外部のDLLを共有して利用 軽量でセキュリティ更新が容易

Windowsでは後者の「動的リンク」が主流です。

しかし、この方法には一つの課題があります。

それは、「ユーザーのPCに必要な部品が入っていない場合、ソフトが動かない」という問題です。

そこでMicrosoftは、開発者に「必要な部品(DLL)をソフトと一緒に配ってよい」というライセンスを与えました。

その配布用セットこそが、Visual C++再頒布可能パッケージなのです。

つまり、あなたのPCにVisual C++がたくさん入っているのは、過去に多くのソフトをインストールしてきた証なのです。

なぜ似たようなバージョンがいくつもインストールされるのか

「最新版だけあれば十分では?」と思うかもしれませんが、それでは動かないアプリがたくさん出てきます。

これは、ソフトが作られた時期ごとに、部品の仕様(ABI:アプリの動作ルール)が違うからです。

バージョン 主な使用例 依存アプリ
2005 古いゲームや業務ソフト The Sims 3など
2008 旧世代のツール Adobe CS4 / CS5
2010 国産アプリ多数 会計・設計ソフト
2013 中期のSteamタイトル Unreal Engine 4採用ゲーム
2015–2022 最新アプリ群 Discord / Valorant / Office

古いアプリは古い部品でしか動かず、新しいものは新しい構造を要求します。

Windowsはそれらを同時に動かすために、「Side-by-Side(サイドバイサイド)」という共存方式を採用しました。

この仕組みのおかげで、異なるバージョンのDLLが競合せずに共存できるのです。

さらに、32ビット(x86)と64ビット(x64)の両方のアプリを動かすために、各バージョンが2種類ずつ存在します。

つまり、Visual C++がいっぱいあるのはエラーではなく「正常な状態」です。

それぞれが、異なるソフトを動かすための“部品カタログ”として共存しているのです。

 

複数あるのは正常?それともトラブルのサイン?

パソコンに「Microsoft Visual C++」がたくさん入っているのを見て、「これはおかしいのでは?」と思ったことはありませんか。

結論から言えば、Visual C++が複数入っているのは正常であり、むしろ健全な状態です。

ただし、まれに注意すべきケースも存在します。

この章では、「正常な状態」と「異常を疑うべき状態」の見分け方を具体的に解説します。

たくさんあっても問題ない理由

Visual C++の再頒布可能パッケージは、それぞれが別のアプリ専用の部品です。

たとえば、古い会計ソフトと最新のゲームを同じPCで動かす場合、それぞれが違うバージョンのVisual C++を必要とします。

したがって、複数のバージョンが共存しているのは自然なことです。

Visual C++のバージョン 依存する主なアプリ 用途
2005 (8.0) 古いゲーム(The Sims 3など) 古いDLL構造対応
2008 (9.0) GTA IV、Adobe CS4/CS5 古いMFC対応
2010 (10.0) Civilization V、業務ソフト 旧式アプリ動作
2013 (12.0) Unreal Engine 4採用ゲーム 中期互換性維持
2015–2022 Discord、Apex Legendsなど 最新ソフト動作

さらに、64ビット版(x64)と32ビット版(x86)のアプリが混在しているため、各バージョンごとに2つずつインストールされています。

これもまた正常な仕様です。

つまり、「数が多い=異常」ではなく、「多い=動作範囲が広い」ということなのです。

どんなときに異常を疑うべきか

ただし、以下のような場合は注意が必要です。

Visual C++そのものが壊れていたり、不要な再インストールが繰り返されている可能性があります。

症状 考えられる原因 対処法
突然古いバージョンが再インストールされた ゲームランチャーやアプリが自動で再配布 放置でOK(自動更新の一環)
「Runtime Error」などのエラー表示 必要なバージョンのDLLが破損または欠落 該当する再頒布パッケージを再インストール
セキュリティスキャンで脆弱性警告 古いVisual C++がサポート切れ Windows Updateまたは新しいパッケージで更新

特に、「MSVCP140.dllが見つかりません」「サイドバイサイド構成が正しくありません」というメッセージが出る場合は、該当バージョンが破損しているサインです。

この場合は、Microsoft公式サイトから再インストールすれば直ります。

削除してはいけないパターンを具体的に紹介

見た目が似ているからといって削除してしまうと、アプリが起動しなくなる危険があります。

特に以下の3パターンは絶対に削除してはいけません。

削除NGの項目 理由
x86版のVisual C++ 64ビットOSでも多くの32ビットアプリが依存している
Visual C++ 2015–2022 最新アプリの動作に必要。DiscordやValorantもこれを使用
古い2005–2013シリーズ 古いソフトやゲームの動作に必須で、代替不可

これらを削除すると、「昨日まで動いていたアプリが突然起動しなくなる」ことがあります。

もし整理したい場合は、後述の章で紹介する「安全な統合・管理方法」を参考にしてください。

 

Microsoft Visual C++を削除してもいい?安全な判断基準

「たくさんあるから整理したい」「古いのは消してもいいのでは?」と考える方は多いですよね。

しかし、Visual C++は単なる重複ファイルではなく、ソフトウェアの動作に欠かせない“システム部品”です。

この章では、安全に削除できるケースと、絶対に削除してはいけないケースを明確に整理します。

安全に削除できる場合とできない場合

基本的に、Visual C++は削除しないのが鉄則です。

ただし、例外的に「重複しており、統合可能なバージョン」であれば整理できることがあります。

対象バージョン 削除可否 理由
2005〜2013 互換性なし。アプリごとに専用の部品が必要
2015〜2022 △(自動統合可) 同一パッケージに統合済み。最新版を再インストールで統合

2015以降のVisual C++は「バイナリ互換性」があり、1つのパッケージ(2015–2022)に統合されています。

つまり、古い2015や2017が残っていても、最新版の2015–2022を上書きインストールすることで自動的に置き換わります。

削除するのではなく“最新版で上書きする”のが安全な整理方法です。

削除するとどうなる?実際のトラブル例

Visual C++を不用意に削除してしまうと、多くのアプリでトラブルが発生します。

以下の表は、実際に発生しやすい事例をまとめたものです。

アプリ名 依存するバージョン 削除後に起きる問題
The Sims 3 2005 (x86) 起動しなくなる、エラー表示なし
GTA IV 2008 ロード中に強制終了
Adobe CS6 2008・2010 「構成が正しくありません」エラー
Discord 2015–2022 起動エラー、「MSVCP140.dllが見つかりません」

このように、削除の影響は「特定のアプリだけ動かなくなる」形で現れるため、原因の特定が難しくなります。

一見問題がなくても、数日後や別アプリで不具合が出ることがあるため、安易な削除は避けましょう。

もし削除してしまったら元に戻す方法

誤って削除してしまった場合でも、慌てる必要はありません。

Microsoftが提供している公式ページから再インストールすれば、すぐに元に戻せます。

対応バージョン ダウンロード方法 補足
2015–2022 Microsoft公式サポートページ x86とx64を両方インストール
2013以前 同ページ下部の過去版リンク 必要なものだけを追加
2005・2008 ゲームフォルダ内の「vcredist」フォルダ ソフトごとの専用インストーラーが含まれる

また、非公式ながら「Visual C++ Redistributable Runtimes All-in-One」という一括インストーラーを使う方法もあります。

ただし、企業PCなどでは利用制限があるため、個人利用に限定するのが無難です。

困ったら“再インストール”が最も安全で確実な復旧手段です。

Visual C++を整理・管理するためのコツ

「消すのは危険なのはわかったけど、せめて整理したい」「放置していても大丈夫?」と感じている方も多いでしょう。

この章では、Visual C++を安全に管理・最適化するための実践的な方法を紹介します。

Windowsの仕組みを理解すれば、無理に触らなくても“自然にクリーンな環境”を保てるようになります。

Windows Updateで自動管理される仕組み

実は、Visual C++の多くはWindows Updateによって自動的に更新されています。

Microsoftは、古いランタイムの脆弱性が見つかった場合、更新プログラム(例:KB2538243など)として修正版を配布します。

さらに、Windows 10以降では「Universal CRT」という仕組みが導入され、Cランタイムの主要機能がOSに統合されています。

管理対象 更新方法 ユーザー操作の必要性
Visual C++ 2015以降 Windows Updateで自動更新 不要
Visual C++ 2013以前 個別の再頒布パッケージ更新 必要に応じて再インストール
Universal CRT OS更新と同時 自動適用

つまり、「Windowsを最新の状態に保つこと」が最も安全な管理方法なのです。

定期的にWindows Updateを実行していれば、手動で管理する必要はほとんどありません。

不要なバージョンを見極めるコツ

「この中でどれが使われているのか知りたい」という場合は、アプリごとの依存関係を確認する方法があります。

ここでは、一般ユーザーでも試せる代表的な手法を紹介します。

方法 概要 おすすめ度
Dependency Walker アプリが依存するDLLを調べる無料ツール ★★★
Dependencies (GitHub版) 現代的なDLL解析ツール ★★★★★
イベントビューアの監査 どのアプリがどのDLLを使っているかをログで確認 ★★(上級者向け)

例えば、アプリの実行ファイルをDependenciesにドラッグ&ドロップすると、読み込んでいるDLL一覧が表示されます。

そこに「MSVCP140.dll」とあれば2015–2022、「MSVCR100.dll」とあれば2010、といった形で依存関係を特定できます。

このように調べれば、「削除しても影響がないバージョン」も見えてきますが、基本的には調査目的に留めておくのが安全です。

誤って必要なDLLを削除すると、アプリが起動しなくなるリスクがあります。

安全にクリーンアップするための手順

「もう整理したい」「エラーが多いから一度リセットしたい」という場合は、以下の手順で安全にクリーンな環境を作ることができます。

手順 内容
① バックアップを取る 作業前に「復元ポイント」を作成しておく
② すべてアンインストール 「設定」→「アプリ」から全てのVisual C++を削除
③ 再起動 DLLファイルのロックを解除
④ 最新版を再インストール 公式サイトから2015–2022版(x86/x64)を両方インストール
⑤ 動作確認 必要なアプリを起動し、不足DLLがあれば個別に追加

この方法であれば、古い不要ファイルを整理しつつ、必要な部品はしっかり復元されます。

「削除」ではなく「リセットと再構築」を意識するのが安全なクリーンアップのコツです。

まとめ:Visual C++が多くても心配いらない

ここまで、Microsoft Visual C++ 再頒布可能パッケージがなぜ大量に存在するのか、そして削除してはいけない理由について解説してきました。

最後に、この記事のポイントを整理しながら、安心してパソコンを使うための考え方をまとめましょう。

結論として消さなくてOKな理由

見た目が重複しているようでも、実は一つひとつに明確な役割があります。

古いソフトは古い部品を、新しいソフトは新しい部品を使う──それぞれが独立して動いているのです。

これらの部品を削除すると、過去のアプリやゲームが突然起動しなくなることがあります。

特徴 説明 安心ポイント
互換性の維持 古いアプリを今も動かすために必要 削除しない方が安全
容量の小ささ 1つ数MB〜数十MB程度 ストレージ負担はほぼゼロ
干渉しない構造 WinSxS機能でバージョンを分離管理 共存しても動作に影響なし

Visual C++がたくさんあっても問題なし。
むしろそれは、あなたのPCが過去から現在まで多くのソフトを正常に動かしてきた証拠なのです。

今後トラブルを避けるためのシンプルな考え方

最後に、これからも安全にWindowsを使い続けるための3つのポイントを紹介します。

ポイント 説明
1. 削除しない 不要と思っても残しておくのが正解。勝手に消すのはリスク
2. Windows Updateを定期的に実行 古いランタイムのセキュリティ更新を自動で適用
3. エラーが出たときだけ再インストール 「MSVCP140.dll」などのエラーが出たときは公式版を入れ直す

Visual Studio 2015以降は統合が進み、今後は以前のように無数のバージョンが並ぶことも減っていくでしょう。

画面に並ぶ「Microsoft Visual C++」の一覧は、過去のソフトウェアが積み重ねてきた歴史そのものです。

「消さずに、そのまま使う」ことが一番のメンテナンスです。

あなたのPCが快適に動いているなら、それはVisual C++が正しく働いている証拠です。

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